セラピストにむけた情報発信



半側空間無視とプリズム順応



2008年9月10日

プリズム眼鏡に対する順応後に,半側空間無視の症状が改善されることが報告されて以来,10年が経過しました(Rossetti et al. 1998).

国内でも非常に多くの施設でプリズム眼鏡を用いた試みがなされています.しかし,身近なセラピストの方々によれば,実際にプリズム順応の効果がはっきり見られるケースは必ずしも多くなく,試行錯誤を繰り返しながら,有効な適用方法を模索しているようです.

最近,茨城県立医療大学の白石英樹先生は,プリズム順応の効果が比較的長期にわたって持続するという報告を発表されました(Shiraishi et al. 2008).

この報告では,視線行動,重心位置,脳血流など,様々な測定指標を駆使することで,その効果を実証しています.また先行研究のレビューも素晴らしく,プリズム順応の臨床応用に関する状況を効率よく知ることができます.

日本発の良質な研究の1つとして,ここにご紹介する次第です.


引用文献
Rossetti et al. Prism adaptation to a rightword optical deviation rehabilitates left hemispatial neglect. Nature 396, 166-169, 1998

Shiraishi et al. Long-term effects of prism adaptation on chronic neglect after stroke. Neurorehabilitation 23, 137-151, 2008.
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